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作品紹介
80歳の日系アメリカ人画家=ジミー・ミリキタニ
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80歳の日系アメリカ人画家は、そーとー頑固でワイルドだけど、実はおちゃめな面もあるじーさん。サクラメントに生まれて広島で育ち、2001年には、世界貿易センターが間近に見えるニューヨークの路上で毎日毎日、絵を一日中描いて暮らしていた。
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ジミー・ミリキタニがソーホーの街角で描くのは、猫、ねこ、ネコ・・・。なぜ猫を描き続けるのか。猫に秘められた想いとは・・・。そしてなぜニューヨークの路上で暮らすようになったのか。その答えを解く鍵は彼の絵にあった。
親しくなると、ネコ以外にも絵の題材があることがわかってくる。
日系人強制収容所、原爆、柿、花や動植物・・・。近所に住む映画監督のリンダが、ネコの絵に惹かれて話しかけたことがきっかけで友情が芽生え、2人の人生は大きく変わっていく。
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ジミー・ミリキタニの思い出話しには脈絡がない――子供のころ広島で行ったピクニック、サムライだった祖先、失われた米国市民権、ジャクソン・ポロック、真珠湾攻撃、第二次大戦中の日系人強制収容所、叔母と一緒に行った宮島、収容所に入れられた何千人もの「アメリカ人」、猫好きだった男の子、日本が芸術大国であることを世界に示すという大志……。
ミリキタニはグランドマスター(巨匠)アーティストなのか?
それとも空手チャンピオン?
あるいはサムライなのか?
時とともに、パズルのピースをはめていくように、ミリキタニの過去が少しずつ分かりはじめる。
そして、彼が絵を通して恐ろしい時代を生き抜きぬいた生涯を表現していることが明らかになってくる。9.11テロ事件
9月に入って暑さが和らぎ始めるかと思った矢先に、突如9.11テロ事件が発生。世界貿易センタービルが倒壊して混乱するなか、リンダは撮影しているだけの「観察者」という立場に耐えきれず、思いがけない行動にでる。ミリキタニを支援しようと、さらに彼の過去をたどり始めると、現在身の回りで起きていることがコワイほど「過去」に似ていることに気づく。一方、過去をめぐる旅のなかでは、小さな奇跡が次々と起こっていく・・・。
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単なる1人の老人のドキュメントとして撮り始められた映像は、事件をきっかけに大きな転換をみせて、さまざまな意味での「ホーム」――「家」「故郷」「拠り所」―― を失うことについてのストーリーとなった。
美しさとユーモアが悲しみや喪失感と混じり合うこの作品は、長年抱えてきた深い心の傷跡が友情とアートによって癒されていく様子を映し出して、見る人に希望と強く生きる力を与えてくれる。猫、アート、平和を愛する人の心に訴えることは間違いない。