作品の背景

2006年

4月に映画『ミリキタニの猫』が完成。完成版のビデオを持って訪れ、誰よりも先にジミーに見せたリンダが感想を聞くと「Not Bad（悪くないな）」との答えだった。

4月下旬に開催されたトライベッカ映画祭で『ミリキタニの猫』はワールドプレミア上映され、観客賞を受賞。その後、世界各地の映画祭で上映され、数々の賞を受ける。

7月にツールレイク強制収容所ツアーに3度目の参加を果たす（初参加は「ミリキタニの猫」の中で見られる2002年）。帰途シアトルに立ち寄り、7月7日開幕のウイング・ルーク博物館におけるジミー初の個展のオープニングに出席。

10月には「ミリキタニの猫」が東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門で日本初上映され、最優秀作品賞を受賞。

2007年

3月のニューヨークを皮切りに「ミリキタニの猫」が全米15都市以上で一般劇場公開され、ニューヨークでは6週間のロングランとなる。

3月後半、ジミーは映画祭と日系人イベントでの「ミリキタニの猫」上映に出席するために、2週間半ほど西海岸に赴いて、サンフランシスコ、サクラメント、サンノゼ、シアトルを訪れた。
　　サクラメントでは上映会の紹介記事が地元の新聞に載り、思いがけない出会いがあった。存在すら知らなかった同年代の従姉妹がサクラメントに健在で、上映会にやってきて初対面を果たした。また、ジミーが収容所で描いた絵を持っている母子が現れた。故人である夫がツールレイク収容所が閉鎖される時にアーティスト本人（ジミー）から買ったものだという。これはジミーが描いた絵で現存が確認されている最古の作品（この絵が後に「尊厳の芸術展」で展示される。）また、サクラメントの生家の住所を訪れてみたが、今やショッピングセンターの巨大な駐車場となっていた。

5月にPBS (公共放送）の「インディペンデント･レンズ」という番組枠で、「ミリキタニの猫」が全米放映（放映日時は地域で異なるが、ニューヨークでは2007年5月10日）。番組枠が１時間のため、本来より約20分短く再編集されて放映された。
　　８月には数十年ぶりに日本の地を踏んだ。東京と広島で合わせて2週間滞在。広島では平和記念式典に参列し、思い出の地でもある宮島を訪れている。また、現在も広島に住む三力谷家（本家）の人々に初めて会い、子供時代に育った日野家の子供たちと戦後初めての再会を果たした。 　　同じく８月に｢ピース・キャッツ　～『ミリキタニの猫』画文集」（画と言葉：ジミー・ツトム・ミリキタニ／編著：マサ・ヨシカワ）がランダムハウス講談社から刊行。

9月に東京と広島を皮切りに「ミリキタニの猫」が日本全国で劇場公開。

2010年

3月には全米を巡回している「尊厳の芸術展」が、首都ワシントンDCのスミソニアン博物館で開幕（～２０１１年１月まで）。この展覧会から、サクラメントで発見されたジミーのツールレイク収容所を描いた絵が展示に含まれる。

8月にスミソニアン博物館で「尊厳の芸術展」関連イベントとして「ミリキタニの猫」が上映され、ジミーも出席。「尊厳の芸術展」を鑑賞した。

2012年

7月にツールレイク強制収容所ツアーに参加した後、デンバーでの個展のオープニングに出席。引き続いて、7月13日から開かれたサンタフェのギャラリーにおける個展のオープニングにも出席。

10月21日ニューヨーク、ルーズベルト病院にて、ジミー・ミリキタニ死去。享年９２歳。リンダ・ハッテンドーフほか近しい人々に見守られて息を引き取った。死因は脳内出血（に起因する機能不全）。それまでは高齢者マンションで、飼い猫のミコと一緒にずっと住んでいた。

11月東京で『尊厳の芸術展』 (The Art of Gaman) が開幕。その後２０１３年夏まで、日本国内計5都市で巡回展が開催。

12月9日、ニューヨーク日系人会（JAA)　において追悼会（49日追悼法要）開催。100人以上が参列した。戒名は「釋観力」。

2013年

5月14日、京都の立命館大学・国際平和ミュージアムで日本初のジミー・ミリキタニの個展が開幕（〜7月20日まで）。ウィング・ルーク博物館の寄託作品30点が展示された。

2014年

1月にアメリカでジミーの絵を使用した絵本 "THE CAT WHO CHOSE TO DREAM" がMartine Pearl Publishing より刊行。文はロレイン・ホンダ、序文はジョージ・タケイが書いている。

8月1日に広島県廿日市市、はつかいち美術ギャラリーで第18回平和美術展「ミリキタニの猫」展（ジミー・ミリキタニの個展）が開幕（〜８／３１まで）。ウィング・ルーク博物館寄託作品３０点に加えて、個人蔵の日本にあるジミーの作品が計40点以上展示（世界初公開）され、併せて佐藤哲郎撮影、松崎美紀子撮影のホームレス時代のジミーの写真も多数展示された。

2015年

5月に「ミリキタニの思い出」（第1巻）が刊行。つづいて6月に（第2巻）が刊行。

2016年

8月に短編『ミリキタニの記憶』完成。つづいて「ミリキタニの猫」日本語字幕新訳版完成。

8月27日に「ミリキタニの猫《特別篇》」東京、渋谷のユーロスペースで劇場公開。